普段あまりビジネス書の類いを読まない私ですが、古くからの友人の著書をご紹介します。
中野貴史 著「口ベタなあなたを救う しゃべる名刺」
いわゆる内勤デザイナー職から、いきなり「営業畑」に放り込まれた著者が、悩み考え抜いて辿り着いた武器、それが「しゃべる名刺」。
フリーランスのデザイナーを細々と続けている私にとって、身につまされるプロローグです。
実際の著者はこの「しゃべる名刺」をきっかけに、現在は企業や個人経営者をクライアントにブランディングや社員研修など幅広く活躍されていますが、この本は、その成功体験や自慢話を綴っているものではありません。
また、単に「キレイな名刺」「かっこいい名刺」「印象強い名刺」等々、名刺の「見た目のデザイン」の解説本とも全く違います。
「自分自身をブランディングする」
自分自身を深く見つめ直し、自分の強み(ブランド)を再構築する。
その方法論自体は、既に実践されていて、ともすれば「至極当然」の事なのかも知れませんが、それを「名刺に落とし込んだ」アイディアが素晴らしい!!
この「しゃべる名刺」、サイズは通常の55×91mmですが、観音開きの計8頁で構成されます。その各ページにギッシリと「あなた自身のさまざまな情報」が記載されるという、驚愕の仕様。
あらためて考えてみると、社会人ならほぼ全員が、目にし、手にし、毎日のように利用しているビジネスアイテム=販促媒体、それが「名刺」だったんですね。
正直、名刺という「販促スペース」を見逃していたようです。
私は著者と同じグラフィックデザイナーですので、どうしても「制作サイド」からの視点で考えてしまいますが、この本に細かく記してある「しゃべる名刺の作成過程」は、名刺のみならずあらゆる販促媒体作成に通じる事だと思いました。
企業の会社案内やオフィシャルWEBサイト、商品カタログや通販サイト、また最近流行のSNSページのプロフィールやコンセプト作成などにも。
誤解されている方もいらっしゃいますが、私達デザイナーは「かっこいいモノ」「きれいなモノ」を作る事が仕事ではありません。
お客様(クライアント)の「抽象的ではあるが強い思い」を「具現化」する事だと私は考えています。
デザイナーがまず最初にすべき作業は、Macの電源を入れるより先に、お客様(クライアント)の思いを「聞き」親身になって「考える」ことだと。
※
実際にはその「聞く」という行程を、営業さんにお任せしている場合が多く「また聞き」になりますが、出来る限りじっくりと考えたいものです。
この「しゃべる名刺」を作り上げていく作業行程=「自分を深く見つめ直し、自身のブランドを再構築する」ことの意味をしっかり理解し実践できれば、「クライアントの思いを具現化」するというデザイナー本来の仕事に必ず役立つはずだと再認識。
忘れかけてた大事な事を、久しぶりに思い起こさせてもらったような気持ちです。
2011年8月18日木曜日
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